耳鼻咽喉科医の耳の日への取り組み
岐阜県耳鼻咽喉科医会 会長 渡辺忠彦
日本耳鼻咽喉科学会が3月3日を耳の日として制定してから久しいし、耳鼻咽喉科医としては、「3月3日は耳の日」というのはよく知っている事柄であったが、一般市民にアピールすることはしばらく行われていなかった。それでも岐阜県で「耳の日の集い」を再開してから、早いものでもう5年になるし、新聞での「耳の日キャンペーン」も4回目である。私ども耳鼻咽喉科医は耳の日のある3月を「耳の愛護月間」として、耳の大切さを市民の皆さんに訴えたい。
耳は大切な五感のうちの「聞こえ」に関係のあることは誰でも良く知っているが、耳にはもうひとつ重要な機能がある。それは「からだの平衡」である。自分でぐるぐる回りをして遊び、心地よいめまいを楽しんだ子供の日の記憶が誰にでもあると思う。これは、耳にある三半規管への回転刺激のせいである。しかし、同じめまいでも、げーげー吐いて死ぬかと思うほど苦しいめまいもある。これも耳のせいであることが多いが、このことを知っている人は意外に少ない。
休日や夜中に急に耳が痛くなっても、耳鼻咽喉科医の診療を受けられずに困ることがある(岐阜市では休日急病診療所や救急医療情報で耳鼻咽喉科を紹介してくれる)が、そんな時でも痛み止めや抗生剤で一時的に痛みが取れると、そのまま放置してしまう人が意外に多いようである。痛みが無くなったら中耳炎が治癒したとは限らないし、ゆっくり病状が進展して来ると全く痛みを伴わない場合(滲出性中耳炎など)も多く、放置して難聴が残ることもあるので、耳鼻咽喉科でのチェックは欠かせない。
耳の日に際して、耳の大切さを改めて再確認して頂きたいと思う。